好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

それから、風里先輩はあたしの顔を覗き込んで不思議そうな顔をした。



「なんか目腫れてない? 何かあった?」



あっ…。



さすが先輩、目ざとい…。



「話…聞いてもらってもいいですか?」

「もちろん」



公園のベンチに座った。



先輩は寒いのを心配して、自分が着ていた上着をあたしにかけてくれて。



先輩だって寒いはずなのに…。



先輩に昨日の夜の話をした。



先輩は目線を逸らさずあたしの話を最後まで優しい顔で聞いてくれた。



全部聞き終わって、あたしの頭をやさしく撫でてくれる。



「頑張ったね」

「先輩…」

「今まで言えなかったのに。すごい勇気というか…力が必要だったでしょ? 一人でよく頑張ったね」



そう言ってあたしのことを優しく抱きしめた。



全身に力がみなぎるのを感じる。



先輩がいてくれるから、あたしは頑張れたんだよ…。



「後悔とかは、してない? 言いたいこと言い足りなかったり、言わなきゃよかったとか思ったり」

「はい、それは全然…。すっきりしました」

「そっか。小糸ちゃんが頑張って、そうやって思えたなら嬉しいよ」



抱きしめながらあたしの頭をさする先輩に、どれだけ救われたか分からないや。



「先輩の受験をねぎらうべきなのに、逆にねぎらってもらっちゃってすみません」



あたしがそう言うと先輩が笑った。



そして笑いながら首を横に振る。



「小糸ちゃんが頑張ったって聞いて、なんか一緒に戦ったような気持ちになれて嬉しいよ」

「先輩ってあたしにとっての神様みたいですね」

「あはは、じゃあ小糸ちゃんは俺にとっての女神かな」



なんて平和な会話をして。



しばらく2人、そうして公園のベンチでくっついていた。



たまに通る人とかも気にならない。



あたしにとって、世界に風里先輩だけいれば充分だなって思った。