好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

~小糸~

先輩が推薦入試の1日目を終えて、あたしに真っ先に会いに来てくれた。



花束までもらっちゃったりして。



あたしがあげたいくらいなのにね…。



試験の手ごたえは良いって言ってたから、あたしはこのままとにかく頑張ってほしいなあと思うだけ。



あたしにできることなんて何にもない…。



特に推薦入試は難しいって言ってたから。



もしここで受かったりしたら純粋に嬉しいけど、受からなくてもあたしは先輩のことを支えるのみだ。



今日は土曜日。



家に帰ったらお母さんと市川さんがいる。



たまにはまっすぐ帰るか…。



なんだか、先輩が頑張ってるのにあたし一人逃げちゃいけない気がして。



「ただいまー」

「おかえり~。どうしたのその花束」

「もらったんだよ」

「へえ~、彼氏に? 小糸の彼氏ってマメよね、すごい良い人そう。今度会わせてよ」

「へへ…」



本当はお母さんとも仲が良いの。



そのはずだったの。



ぎくしゃくなんてしたくないんだよ。



お母さんは、市川さんのいる日に久しぶりに早めに帰ってきたあたしに心なしか嬉しそう。



「それ花瓶に入れておいてあげるから手洗ってきちゃいなさい」

「うん、ありがとう」



お母さんに花束を渡して素直に手を洗いに行く。



市川さんのことだって別に嫌いじゃない。



嫌いじゃないけど受け入れられないだけなの…。



あたしがまだ幼いせい。



あたしはまだまだ大人になる準備ができていない…。