好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

中途半端に手をあげた俺に気づいた小糸ちゃん。



「え! 風里先輩!」

「やっほー」

「こんなところで会えると思ってなかったです! うれしい!」



そういう小糸ちゃんは満面の笑顔。



でも俺は隣の男の子が気になります。



俺がじっと隣の男の子を見てるのに気が付いて、小糸ちゃんが「これは幼馴染の結人(ゆいと)くんです。先輩と同い年ですよ」と紹介してくれた。



年上の幼馴染~…?



何それ、いやらしい響き…。



親も悠麗くんたちも幼馴染同士で結婚してるから、幼馴染と言えば恋愛みたいに思ってる節がある…。



紹介された結人くんは、俺にぺこっとお辞儀をした。



俺もにこっと笑ってお辞儀をし返す。



あれ、なんか俺の顔、引きつってる…?



結人くんは短髪黒髪の爽やかそうな男の子。



身長は俺よりちょっと低いくらい?



俺を見る目つきが若干鋭いような…。



小糸ちゃんのこと、好きなのかな…。



「小糸、だれ?」

「あ、結くん、こちらは学校の先輩の風里先輩!」



結くん…。



なんか仲良さそうじゃん…?



普通男女で映画なんて見る?



なんかモヤモヤ…。



なんか…かわいがってる年下の女の子が、俺と同じように年上の男と仲良いのが気に入らないみたいな…。



俺って独占欲強いんだよね~…。



「あ、じゃあ先輩、またお店で!」

「うん、またね」



置いてけぼりの俺。



なーんか情けない…。



それからしばらく一人でショッピングしてから家に帰った。