好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

「ただでさえ3日も小糸ちゃんと会えなくてつらいのに!」

「あたしちょうどいないから受験勉強集中して頑張ってください」

「無理だよ~…」

「先輩さっきからワガママばっか…。待たされる側の気持ちもたまには味わってみてください」

「急に強気だね…」

「だって先輩が変なんだもん…」



そっか…。



小糸ちゃんが…。



他の男に食われる…。



いじけた俺は勉強に戻ることにした。



小糸ちゃんは俺のことにおかまいなしでまたガイドブックを読んでる。



俺のことなんて眼中にないんだ…。



悲しい…。



次の日、予備校の授業の合間に直くんにその話をしたら笑われた。



「風里って重いよな」

「…否定はできない」

「いいじゃん、写真送ってもらいなよ」

「小糸ちゃんがそんなことしてくれるとは思えない…」



恥ずかしがり屋さんだもん…。



そこがかわいいんだけどさ…。



「だって小糸ちゃんが他の男の下心の餌食にされるよ?」

「そこはもう諦めな」

「いっそのこと色んなとこにキスマークとかつけちゃおうかな…」

「嫌われるぞ」



ぬぁ~。



それは無理!



結局、なすすべもないまま、小糸ちゃんは修学旅行へ旅立って行った。



2年生のいない学校は静かなものだ。



校舎も覇気を失って寂しそうに見える。



俺と一緒だね…。



なんて、うっかり校舎と友情が芽生えそうになった。