好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

「小糸」

「結くん…」

「久しぶり」

「久しぶり…」



結くんはいつも通りの感じ…。



多分そうしてくれてる…。



「ちゃんと自分の気持ち、彼氏に言えたんだな?」



結くんがあたしに聞いた。



あたしは静かにうなずく。



「良かった」



そう言って軽く微笑む結くん。



「じゃあ…」



そう言ってあたしたちに背を向けた。



それからすぐに、「あ、そういえば」と言って振り返った。



「亜子さんの連絡先、知ってるか?」

「え…」

「教えてほしいんだけど」



意外なことを言われて、思わず風里先輩の顔を見た。



亜子さんの連絡先、知りたいんだ…。



ちゃんと亜子さんとの関係を考えようとしてるってこと…?



「勝手には教えられないから、今日亜子さんに会ったら聞いてみるよ」



そう返事した。



結くんが「分かった、よろしく」と言って、またあたしたちに背を向けて行った。



風里先輩が、繋いでいた手をちょっときつく結びなおす。



「結人くんって良い人だね…。小糸ちゃんのこと、すごく考えてるのが分かった…」

「そう…ですね」

「だからこそもっと妬けちゃった…。俺だけが小糸ちゃんのこと考えてればいいのにね…?」



珍しく風里先輩が弱気…。



あたしはそんな風里先輩の頭を少し背伸びして撫でた。



「でも、風里先輩はあたしに誰にも負けないくらいの愛をくれますよ? あたしはそんな風里先輩が好き…」

「ありがと…」



風里先輩があたしに頭を撫でられながら軽く微笑んだ。



黙って頭を撫でられる風里先輩がなんだかかわいくて。



誰がなんと言おうとあたしは風里先輩のことが好きで、それは揺るがない。



こんなに愛おしい人、あたしは他に知らないもん…。