好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

怖い! しつこい!



あたしはただうつむいて小走りにその人をやり過ごした。



心臓バクバクしちゃう…。



ナンパ? だよね。



怖いよ~…。



そのあと会った先輩にほっとした。



先輩に会うとどんなときでも嬉しくなっちゃう。



先輩と手を繋いで歩く。



先輩があたしの買い物したものを持とうとしてくれる。



それは先輩にあげるやつなので…。



あたしが持ちます…。



納得してなさそうな先輩に絶対持たせないようにした。



「分かった分かった、じゃあケーキだけ持つよ」

「じゃあお願いします…」



ケーキだけ渡すと先輩はにこっと笑ってそれを持ってくれた。



「そういえばさっきナンパ? みたいなのされました…。怖かった…」

「え…大丈夫? 何もされてない?」

「何もされてないけど…しつこかった…」

「許せない…」



先輩が怒ってる…。



先輩が怒るなんて見たことないのに…。



「小糸ちゃんに怖い思いさせるなんてあり得ない」



そう言って怒ってくれる。



ああ…なんか嬉しいかも…。



あたしのためにあの優しい先輩が怒ってくれるんだ。



それだけで愛を感じちゃうのは単純かな。



でも嬉しいや…。



それから先輩の家に着いた。



家にはご家族もみんな揃ってて。



「お邪魔します」

「いらっしゃーい」



風里先輩がケーキを冷蔵庫にしまってからあたしを部屋に促した。