好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

なんとなく話題になる穂高と明莉ちゃんのこと。



「明莉も朝から落ち込んでました…」

「だよね…。明莉ちゃん可哀想すぎる…」

「放課後、教室に走って穂高先輩来ましたけどね…。上手くいくといいけど…」



俺たちは見守るのみだ…。



「先輩! 話は変わりますが!」



小糸ちゃんがそう言って歩きながら体をこちらに向けた。



「うん?」

「もうすぐ先輩の誕生日じゃないですか。ケーキくらいは一緒に食べたいんですが!」



ああ~。



そういえばもうすぐ誕生日だ…。



「ありがと。祝ってもらえるの嬉しいよ~」

「良かった! 土曜だけど多分先輩授業ありますよね?」

「うん、夕方まで授業あるからそれ終わってからでもいい?」

「もちろんです! それまで準備しとくので!」



彼女に祝ってもらえる誕生日っていうのは嬉しいもんだよね~。



去年は小糸ちゃんの家で手料理とかふるまってもらった。



絵筆とかもプレゼントしてもらって。



あの絵筆は今も使ってる。



あれからもう1年も経ったのが驚き。



一年経つのって早いなあ…。



そういえば初めてキスしたのも俺の誕生日だったなあ。



俺たちは1年も前にキスしたっていうのに穂高ときたら…。



ほんとバカだね…。



だけど次の日、昨日とは打って変わってニコニコした顔で教室に入ってきた穂高。



分かりやすいね~。



「風里! おはよ!」

「おはよ~…。なに、うまくいったの」

「おう!」



そう言って昨日みたいに俺の机の横にしゃがんだ。



「ちゃんと話して、謝ったよ、俺の不甲斐なさとかも全部」

「そっか」

「明莉ちゃんも寂しかったみたい…。俺も受験生だしさ。まじ申し訳ない…」



寂しくさせちゃうのは一緒だね…。



罪深いね、俺たち…。



「じゃあチューできたの?」

「まあな!」

「そう…良かったね」

「まじでもっと早くするべきだった」

「それはそうだよ」



まあ何はともあれ良かった。



俺も2人にはずっと仲良くいてほしいしね。