好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

へえ…。



えっ、のろけ…?



なんでそんな落ち込んでんの…?



別に初めてのチューとかじゃないでしょ…?



俺がそう言うと、穂高は俺の方をじっと見てきた。



えっ。



図星なの!?



「えええ!? まじ!?」

「だから俺はまじで終わりなんだよ~。彼女に言わせておいてしないとか…やばすぎて…笑ってくれ…」



いくらなんでも穂高、付き合ってこんだけ経って未だチューしてないっていうのはびっくりだよ…。



「いや俺もね? ずっと機会伺ってたんだよ? でも明莉ちゃん初めてって言うし…初めての思い出を悪いものにしたくないじゃん…?」

「いやまあ分からなくは…いや…うーん…」



理解しようとしかけたけど、さすがにそれで半年以上放置は明莉ちゃんがかわいそうだ…。



別に男側がリードしろと思ってるわけじゃないけど、明莉ちゃんにとって初めてなわけで…。



そこは穂高が頑張ろうよ…。



穂高なりの気遣いなのも分かるけどさ…。



しかも、それで業を煮やして、あの明莉ちゃんが言ってくるなんて相当だよ…。



「勇気出して言ってくれた明莉ちゃんに応じてあげないのは…最低だと思います…」



俺がそう言うと、さらにがっくりとうなだれた。



ごめん穂高、俺ははっきり言うよ…。



「今日にでも取り返しな…。別れ告げられてもおかしくないよ」



俺は手を出されなさ過ぎて別れたカップルを知ってる。



そうなってもおかしくないです…。



いや、本当にそういうのしなくても良いっていうカップルがいるのも知ってるけど。



もっと早くお互い意思確認をすべきだったね…。



「はい…」



穂高は素直にそう言ってしばらく俺の席で小さくなってた。



その日の放課後、「絶対挽回する!」と言って教室を飛び出していった穂高。



がんばれ…。



俺は小糸ちゃんと帰ります。