好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

~風里~

受験の準備ばかりしていた夏休みが終わって、またいつもの日常に戻る俺たち。



「また先輩と一緒に登下校できるようになった~嬉しい!」

「ね~、俺も~」



なんて平和な会話をする…。



「先輩、今日あたしどっかでご飯食べて待ってるから予備校のあと一緒に帰りたい」

「うん、ちょっと待たせちゃうと思うけど…待ってて」

「もちろんです!」



前よりもこういう会話が増えた。



遠慮するのはやめたんだ。



俺も、難しいときは難しいって言うし。



小糸ちゃんも「残念!」って言いながら受け入れてくれる。



俺たち、かなり順調。



そんなある日の朝、順調な俺たちとは反対に、暗い顔で穂高が教室に入ってきた。



俺は教室で勉強してて。



「風里…」



その暗い声で顔をあげた。



「穂高じゃん。おはよ」

「俺…終わりかも」

「え? なに?」



穂高が俺の机の横に小さくなってうずくまった。



「昨日さあ…」

「うん」

「明莉ちゃんと部屋で一緒に過ごしてたんだけど~…」

「うん」

「明莉ちゃんが急に『チューしたい』って言いだして」

「うん…?」

「嬉しかったのに、動転しすぎてできなかった…」