好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

「でもね、先輩」

「うん?」

「寂しいって言えなかったのは…先輩に気を遣ったからだけど。結くんからの告白を先輩に言えなかったのは、それだけじゃなくて…先輩に対する後ろめたさとか、信じてた結くんから好意を向けられたことへの認めたくなさとかもあったんです」



そう言う小糸ちゃんはどこか寂しそうな顔。



そっか、そうだよね…。



俺は結人くんから告白されたことに対する嫉妬と、言ってくれなかったことへの混乱が大きすぎたけど、小糸ちゃんからしたらもっと複雑だよね…。



「その気持ちもくみ取れずに、一方的に自分の気持ち押し付けてごめんね…」

「いやいや! もう謝らないでください! 先輩悪くない…」

「でも…」

「あたしたち、多分本当は2人とも悪くないのに、ずっとごめんって言い合ってる…。もうやめましょう! 先輩のことが大好きなことには変わりないんだから!」



そう言う小糸ちゃんはなんかちょっと一皮むけたようにも見えて。



たまってた膿が出せたみたいな…。



そんな感じ。



「そうだよね、俺も小糸ちゃんのこと大好き! 早く受験終わらせるから待っててね」

「はい! 頑張ってください!」



まず最初の推薦入試まで、あと3か月。



お互いちょっと寂しい思いするかもしれないけど…踏ん張ろう!



待たせてる小糸ちゃんのためにも絶対頑張る。



俺たちはその日、夜通しずっと抱き合っていた。