好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

そのまま、結人くんを置いて少し走った。



走りながら小糸ちゃんに電話をかける。



≪もしもし…?≫

「小糸ちゃん、今から出れる?」

≪えっ?≫

「話したい。あと5分で着くから、いつもの公園に来て…」



小糸ちゃんは戸惑った様子で≪わかりました≫と言った。



早く、早く。



小糸ちゃんに会いたい。



しばらく走って、公園に着いて。



小糸ちゃんは先に来ていた。



「ごめん! 待たせたよね…」

「今来たところです! それより、どうしたんですか…?」



俺は黙って小糸ちゃんをベンチに座らせた。



隣に座る。



「さっきね…結人くんに会ったの」

「えっ…」

「…聞いたよ。結人くんに告白されたこと…」



俺がそう言うと、小糸ちゃんは動揺して目を伏せた。



「どうして…教えてくれなかったの?」

「先輩に…悪いと思って」

「全然悪くなんかないのに…。なんでも言ってねって言ったよね?」

「ごめん…なさい…」



俺の言葉に、小糸ちゃんがそう言って涙をポロポロとこぼした。



俺は、その涙を見てハッとする。



俺が小糸ちゃんを泣かせてる…。



思わず小糸ちゃんを抱きしめた。



「ごめん、そんな風に泣かせる俺が悪い…。ごめんなさいなんて言わないで…」



そう言って強く抱きしめた。



小糸ちゃんは泣き続ける。



「言わなくてごめんなさい…」

「違う違う、俺がいっぱい小糸ちゃんに気を遣わせた。言い出せなくさせた…」

「ううん、先輩はちゃんとあたしのこと気を遣って、あたしに何でも言ってって言ってくれてたのに…っ。言わなかった私が悪いです…」

「そんなことない、結局言えない雰囲気作ったのは俺だよ。結人くんにも言われた。小糸ちゃん、寂しいのも言えずに我慢してたでしょ…」