好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

でも、俺の疑惑の答えが明らかになったのは次の日。



小糸ちゃんもバイトのない日、予備校から一人の帰り道で、たまたま結人くんに遭遇した。



軽く会釈する俺。



帰る方向が同じでやや気まずい…。



「帰るの遅いんだな」



結人くんに話しかけられた。



「まあね…。受験生だから…」

「そりゃ小糸もあんな顔するわけだ」



んん?



なにその感じ…。



え、小糸ちゃんと会って何か話したの?



俺が眉間にしわを寄せて結人くんを見た。



「え、聞いてない?」



結人くんが俺に言う。



なに…。



俺はなにも言えない。



「俺、小糸に告ったから」

「えっ…」



突然の結人くんのカミングアウト。



まさか…。



小糸ちゃんからは当然なにも聞いてないわけで。



結人くんが小糸ちゃんのことを好きなのは気づいてた。



でも、このタイミングで小糸ちゃんに告白…。



小糸ちゃんが最近変だったわけ、これだったんだ…。



「小糸は風里先輩以外見えないって言ってたけど。あんまり小糸に我慢させんな。小糸があんな顔しなきゃ俺だって言わなかったんだよ」

「…」



俺は複雑な気持ちでいっぱい。



結人くんにそんな風に言われることに対する嫉妬、苛立ち、小糸ちゃんが今どんな気持ちでいるのかという申し訳なさ…。



小糸ちゃん…。



早く小糸ちゃんに会いたいと思った。



小糸ちゃんと会って、話をしないと…。