好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

~小糸~

今日も市川さんを避けるため、先輩の家で時間をつぶさせてもらう。



本当は先輩の邪魔したくないからいつもの公園でいいんだけど、先輩が一人で公園は危ないからダメって…。



申し訳ないなあ…。



いつものように、部屋で勉強する先輩の背中を眺める。



寂しい背中…。



なんて思ったらだめだよね。



ただでさえちょっと迷惑かけてるのに。



だけど、先輩はよくあたしに「寂しい思いさせてない?」と心配そうに聞いてくる。



先輩のやさしさが伝わってくるよ。



「寂しい」なんて言えない。



だからあたしはいつも笑って「先輩と一緒にいるだけで幸せです!」と返す。



それも本当の気持ちだし。



そしてもうすっかり風里先輩の家族と一緒にご飯を食べさせてもらうことも多くなった。



「いっぱい食べてね~」

「ありがとうございますっ」



先輩のお父さんがいるときはお父さんの手料理になるんだけど、本当においしい。



お店の味をこんな風にいただけるなんて感謝しかない…。



それから家にもたまに泊めてもらう。



外泊の多くなったあたしに、あたしのお母さんはやっぱり何も言わない…。



「小糸ちゃん、今お布団敷くから待っててね」

「あたしやりますので!」



先輩の部屋で一緒に眠るのはやっぱりNGなので、ご家族の誰かしらがいつも別の部屋に布団を敷いてくれる。



申し訳ないからそろそろ自分でやりたいです…。



「じゃあお願いしようかな?」

「はいっ!」

「そこの部屋にお布団一式あるから好きなの自分で持って行ってね」

「わかりました!」



なんか気を許してもらったみたいでこれはこれで嬉しいです。