好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

~風里~

新年を迎え、世間はお正月ムード一色。



テレビもお正月の雰囲気が漂った番組がたくさん。



俺はお正月の雰囲気が好き。



父さんと一緒に作ったおせち料理を持って、家族で祖父ちゃんの家に行く。



毎年欠かさない家族行事だ。



両親は幼馴染で、母方の祖父母の家と父方の祖父母の家は隣同士。



毎年母方の祖父ちゃん家に悠麗くんの家族も一緒に集まるんだ。



「あけましておめでとう~」

「あけましておめでとう! いらっしゃ~い」



家に入ると、すでに悠麗くんの家族が来ていた。



久しぶりに会ういとこの弥玖もいる。



「久しぶり~」



ニコニコと俺たちに挨拶してくれる。



「おー、来たか」

「祖父ちゃん」

「まあ座れよ」



ワイルドな雰囲気の祖父ちゃん。



おじいちゃんって言うよりは自由な大人っていう感じが俺の自慢でもある。



親子なだけあって、悠麗くんに似てると思う。



「はい、これおせち」

「毎年ありがとな! 良い婿と良い孫持ったわ」



父さんと一緒におせちづくりするのは結構楽しい。



小さいときから父さんが作るのを横で見ていて、自然と自分も一緒にやるようになってた。



姉ちゃんはあんまり興味なさそうだったけど。



俺は周りの大人から結構いろんな影響を受けて育ったと思う。



みんなでお正月のテレビを見ながらおせちをつまむ。



「そういえば風里、例の子とどうなった?」



悠麗くんがふと俺に聞いた。



みんなが『何の話?』と俺の方を見る。



恥ずかしいな…。