好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

「小糸、今年ももつ煮の屋台出てる。食うか?」

「うん! 先輩も食べましょ」



そう言って先輩の手を引いてもつ煮の屋台に並んだ。



「うわ~、おいしい…」

「おいしいですよね! 毎年食べてるんですけど最高なんですよ」



気まずいけど、先輩にここのもつ煮を教えることができたのは良かった。



それから3人でお参り。



気まずいあたしは早々に解散したい。



「じゃあ、今年もよろしくお願いします!」



あたしが2人に宣言して帰ろうとした。



「え、もう帰んの?」



結くんがあたしの袖口をちょっと引いた。



その手を風里先輩がじっと見る。



あ、なんかやばい?



あたしは結くんの手をそっと外す。



「う、うん。寒いし…」

「そ、じゃあ帰ろ」



あたしと結くんの家は、風里先輩と逆方向。



「小糸ちゃんの家まで送って行って挨拶しに行きたいけど…結人くんいるし、重いと思うから帰るね…」



そう言って先輩がしょぼんと帰って行った。



かわいそう!



あたしは、「結くん、先に帰っててね!」と言って、結くんを置いて先輩を追いかけた。



「先輩!」

「え、小糸ちゃん?」



振り返った先輩の胸に、走った勢いでそのままぶつかる。



「どうしたの?」

「もうちょっと先輩と一緒にいたくて…」



あたしがそう言ったら、ぱっと嬉しそうな顔をした。



かわいい顔!



そのまま先輩と一緒にちょっと歩いていつもの公園に入った。