好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

それから30分バイトを頑張って、先輩と合流して一緒にご飯を食べて帰った。



学校のある日は毎日会ってたから冬休みが寂しいと思ってたけど、冬休み中もたくさん会ってくれて嬉しいな。



「ただいまー」

「おかえり」



家に帰ると、お母さんと市川さん。



今日はいる日だったのか…。



「バイトおつかれさま」

「ありがとうございます…」



やっぱり市川さんには気まずさを感じてしまう。



だけど、不思議だな…。



風里先輩とたくさん会って、いっぱい愛してもらっているのを感じている日々で、なんだか市川さんのことが前よりもささいなことに思える。



今日はなんかちょっと普通にできそう…。



「夜ご飯は食べた?」

「はい、外で食べてきました」

「そっか。僕たちも今食べ終わったところなんだ」



なんか不思議な感覚。



市川さんと普通に喋れてる…。



「小糸ちゃんは大晦日もバイトなの?」

「いえ、お店がお休みなので」

「そっか。年越しなんだけどね、僕も一緒に過ごしてもいいかな?」



なんだか、それでも良いような気がした。



あたしにはあたしの、家族の形があるんだって、そんな気が少しだけした。



完全には受け入れられないけど…。



年越しくらい、一緒にいてもいいんじゃないかって。



「あたしは別に…。好きにしてください」

「ありがとう」



市川さんは微笑んだ。



お母さんも、なんだか嬉しそうで。



あたし、先輩と付き合うことで、ちょっと変われたんだ…。



それが嬉しかった。