「先輩の匂いだ…」

「そう? 自分じゃわかんないけど。臭い?」

「良い匂いですっ」



それならよかった。



シングルベッドで2人は少し狭い。



だからこそくっつけて最高なんだけど。



小糸ちゃんを抱きしめると、小糸ちゃんの心臓の音が俺にまで伝わるような気がした。



「ど、ドキドキしすぎて眠れないかもです…」

「それは困っちゃうな。子守唄歌ってあげようか?」

「あははっ。歌ってみてください」

「いいよ」



俺は小糸ちゃんのことをぽんぽんとゆっくり叩きながら適当に子守唄を歌う。



全然寝そうにないけど…。



俺の胸の中にいる小糸ちゃんは、一生懸命目を閉じてる。



そんな小糸ちゃんがかわいくて、俺は小糸ちゃんの顔にかかる髪をはらうようにして頬を撫でた。



「先輩…」

「うん?」

「大好き…」



きゅ、きゅ~ん…。



小糸ちゃんにしてやられたような気がして、俺のドキドキの方が加速した気がした。



こ、これ以上なにかするつもりはないけど…。



やばい、俺の理性、がんばって仕事して…。



「だめだめ…」



一人でつぶやいて、俺の変化を小糸ちゃんに気付かれないように頑張った。



悶々とした夜を過ごしたのは内緒で。



余裕ぶってたけどちょっとやばいかも~…。



俺の胸の中で次第に寝息を立てはじめた小糸ちゃんを、俺はじっと見るしかなくて。



ほとんど眠れないまま、朝を迎えた。



小糸ちゃんのことは大切にするつもりだけど…あまりに小糸ちゃんが好きすぎて、俺の理性にも限界があることを知ったクリスマスだった。