「逢ー、次の発表どうしよー」



練習が終わり、
片付けをしているときも部室には部長の声が響く

朝からずっと踊ってたのに元気だなぁ……



「逢ー?」


「え、!あ、なに?」


「次の発表どうしよーって」


「あー、ね?」



面倒事に巻き込まれたくないから、
自分の意見を言うことは少ないわたし

そんな考えも部長、幼なじみの美月(みづき)にはバレバレだったみたいで。


「逢、普段何も言わないけどどうせいろいろ思うことあるんでしょ〜?」


「えー?別に……」


「わたし、逢がセンスいいの知ってるんだからねっ」


「ほんっとにそんなことないって〜 」


美月はいつもわたしを肯定してくれる

人見知りで、引っ込み思案なわたしにもいい所を見つけ出してくれるすごい人


……たまに強引だけど、頑固だし。




「ねえ、今回逢が考えてよっ!」


すっかりスイッチが入った美月はもう私たち2人しかいない部屋で叫んだ


「ちょ……うるさい、」


「あは、ごめんごめん笑」


謝るけど何も反省してないの、わかってるよ?


「逢〜」


「……わかった、考えてみるよ」


「ほんとっ!?」







結局、美月に押されて仕事を引き受けてしまった



別にこういう仕事は嫌いじゃない



むしろ好きな方だけど、周りの目が怖くてあまり自分からやりたいとは言わないし言えない。



一応、この学校のダンス部はそこそこ強い……



というか全国でも強豪校の部類に入る学校で、全国や世界までも視野に入れて活動している



いろいろな地域から本当にダンスがやりたい子が集まるだけあって、いつもギスギスしているのが現実



だから、やらないんだけどね普段は。



「ねえ逢、まだ〜???」


「ごめんごめん、今行くー!」



こんな感じで、今日も美月に急かされながら部室を後にした。