ヤヌアルは改札口付近で人混みから外れ、手にしたマスコットを徐(おもむろ)に掲げて、人々の流れを確認する。 何かを探しているような、そんな人間は見当たらない。 ヤヌアルはもっと高く、汚れたマスコットを掲げた。 しかし、結局、関心を示す者は、誰一人としていなかった。