高嶺のぼっちはかまわれたい

だれかにわざと足を引っ掛けられた気分だ。

振り返ると、なんと本当に棚の陰からだれかの脚がニョキッと伸びていた。


「ひっ…!」


思わず人体模型を抱きしめる。


「ごめん、なんか足引っ掛けちゃった…?」


どうやら、備品室にある物置きと化した古びたソファの上で、だれかが脚を伸ばしたまま眠っていたようだ。

その人物が棚の陰から顔を出す。


ボサボサの黒髪に、目元が隠れるくらいの長い前髪。

まぬけに大あくびをしながら、お世辞にもかっこいいとは言い難いビジュアル。


はいている上履きは、つま先が青色。

あれは、1つ上の3年生の上履きの色だ。


ということは――。


知ってる、この人。

もしかしたら、違う意味でわたしと同じくらいこの学校で有名かもしれない。


たしか、名前は…影山一颯。

名字のとおり影があり、陰オーラが漂う。


そう、彼は学校一の地味男子。

通称、“ジミー”だ。