午後一の授業は漢方と生薬の実習。
実習は体力も精神力も削られるため、本当はご飯を食べておくべきなのに。意地になって食べなかったせいか、お腹が鳴りっぱなしだ。
「あんなにお昼ご飯与えたのに。まだ足りなかった?」
なぜか隣には鹿助君がいた。
漢方の臭いが鼻をつく実験室で、私から鳴るお腹の音に反応したらしい。白衣は音まで隠してくれないらしい。
「う、うるさいよ。」
「なんか動揺してる?」
悔しいけどちょっとだけ動揺した。でもほんの一瞬ね。
スーツのジャケットを脱いで、その上に白衣を羽織る姿に見惚れない学生はいないって。それを鹿助君がやるんだもん。
でも私の白衣姿に見惚れない男の子もいないから。今日はフリルのラップスカートを履いているから、白衣の裾から見える脚に程よい色気を感じてしょうがないよね。
それに腕まくりをした華奢な腕を見せれば、白衣萌えの完成。
ほら、ね?どう鹿助君。私に白衣萌えを感じるでしょ?
「葛根湯《かっこんとう》って風邪に効く漢方薬だよね。俺が風引いたら百奈が看病してね。」
私の白衣姿、褒めようともしない。
むしろ鹿助君の腕まくりをした白衣の袖から覗く、固そうで綺麗な手首とか。手の甲に浮かぶ骨が大きく隆起しているのに、指先が綺麗でつい目がいく。
「髪、結ばないの?」
「い、今から結ぶんだってば。」
ミディアムヘアの髪を束ねようと、ゴムを口にし手を後ろにやる。でも鹿助君が、私の髪を束ね始めた。



