盾狼君が私の手を引いて立ち去ろうとする。でも寺道くんの隣にいた男の子に、反対の手を引かれた。
「百奈ちゃん!薬学の論文で賞獲ったんだよね?!」
タバコ臭い顔が目の前に迫り、無理やり笑顔を作った。
「あ、あー…。うん。といっても、大した賞じゃないよ?」
「卒論の時に色々教えてほしーし、良かったらライン交換しない?!」
4人の中では比較的まともそうな黒髪の男の子。卒論かあ。薬学部以外は4年で卒業だからもうすぐだもんね。
私が、まあラインくらいならいいかな、と鞄からスマホを取り出そうとすれば。
「ああ、レッドカーペット賞?」
盾狼君にぐいっと強く手を引かれて、思わず盾狼君の大きな身体にぶつかった。
「いたっ。奨励賞だって!」
ずんずんと進んでいく盾狼君に引かれて、そっと喫煙所の方を振り返り、適度な愛嬌を振りまいておく。
すると後ろから寺道くんが、盾狼君に声を掛けてきた。
「おい鹿助!お前、スマホでモンパンやっとる?」
その言葉に盾狼君が立ち止まって。笑顔で振り返ったのだ。



