君を思うと、胸がぎゅっと痛くて

一番星に願う。
私がアキを想うように、アキも私だけを見てほしい。
だけどそれは叶わない。
未来の私に、今の私は太刀打ちできない。
命をかけて、アキの子どもを産んだ私なんだもん。
それでも一つだけわかることがある。
私が今ここにいること、アキが未来から会いに来たこと、それにはきっと意味がある。

「アキーーずっと聞いてみたいことがあったの」

「ん? なに」

「アキは未来から来たんだよね? なら、この時代のアキはどこにいるの?」

知ったら怖くて、触れたら壊れてしまいそう。
だから聞けなかった。
でも夏の夕方、もう終わりは近いから、私は知らなきゃいけない。

アキは直ぐに言葉を返さないで、黙っていた。
数分が、永遠に感じた。

「この時代にも”アキ”はいるよ」

「何歳? いまどこにいるの?」

「14歳。俺が勤めてる病院に入院してる。移植のドナー待ちで、生まれてから殆ど入院で、外に出られたことがない」

「え……同じ歳なの。それに……ドナーって」

「そうだよ。俺も救われたんだ。彼に」

「奏?」

「そう」

「奏が事故にあわないと、私もアキも死んじゃうなんて、そんなのおかしいよ……!!」

「それでも、俺はここに来た。彼に救われて医者になって、今度は大切な女の子を守りきるために」

私は、奏とずっと一緒に育ってきた。
奏と一緒に居るのが当たり前で、奏がいるから私がいる。
そんなふうに思ってた。

だから、奏の命はアキのために、私のために、他の病気に苦しむ誰かのために産まれてきたんじゃない。

「アキ、この世界のアキに会わせて」

「……いいよ。ついておいで」

私はアキがタクシーを拾ってくれたので、そのまま飛び乗った。