君を思うと、胸がぎゅっと痛くて

「ついについに梅雨が明けたよ!! さーゆー!!!」

学校に着いた途端、走った上に身体にぴとっと張り付いてくる陽菜。

「ひーなー! 走るなって何度言えばいいのぉ?」
「お前もな。さっき信号変わりそうな時に走ってた」
「しっ、今はそのことはいいから」
「あはは、さゆもダメじゃん」
「陽菜にだけは言われたくないぃ〜〜」

頬っぺたを横に引っ張る。
ひゃめてーと言うので、仕方ないのでやめてあげた。

「あぁもう痛ァ!」
「定期検診もサボってるって? さっきはる兄にLINEでチクッといたから」
「うわぁぁぁ! 最悪! ここんとこずっと病院ばっか行ってたからいいじゃぁん」
「確かにね」
「アホゥ。丸め込まれてるんじゃねぇ!」

今度は私が奏にチョップされる番。

「何よー!」
「お前らな、サボり癖つきすぎ。そんなんじゃ大人になってやってけねえぞ。仕事とか」

そこで私たちは目を見合せて笑った。
2人にだけわかる合図。

「だって私たち、大人になる前に居なくなるから」

どちらかともなく重なるように答える。

「達観してる……って訳でもなさそうだな」
「奏会長、こういうのを女の勘って言うんですよ!」
「そうそう。奏には分からないやつ!」

私は生きられるかもしれない未来を背負ってるけど。
それを素直に受け取るつもりは無い。
だって、目の前の奏の心臓で生きるなんて未来を選ぶくらいならこのままでいい。

それに、ほら。
目を合わせたら、陽菜が居てくれる。
もしかしたら、天国でも仲良くできるなら……。
そんな未来を考えて、でもやっぱり陽菜にはできるだけ長く生きていて欲しい。