「陽菜っ! 大丈夫か?」

はる兄さん、陽菜のお兄さんは医大生だ。たしか今3年生だったかな? 陽菜とは歳が離れてるけど、すごく頼りになる優しいお兄さんだ。

「はる兄、ちょっと久しぶり。陽菜ね、帰るまでは元気だったんだけど、今日は雨降ってるからダメだったみたい。吸入器も2回吸ってるけどあんまり効かない」
「さゆちゃん久しぶりだね。教えてくれてありがとう。陽菜、無理して話さなくていいから。頷くかで応えて。歩けそう?」

陽菜は咳をしながらもゆっくり頷く。
陽菜の指で酸素を測りながら、手首で脈を確認してる。

「じゃあこのまま、東条先生のところいこうな?」

泣きそうな顔をしながら首を横に振る陽菜。

「嫌なのは解るけど、このままじゃ辛いのは陽菜だよ?」

はる兄が困った顔をすると、陽菜にガシッと私の腕を掴まれた。
私はため息をついた。

「陽菜ぁ、これって私も一緒にならってこと?」

コクコクと頷く陽菜の顔を見たら、逆らえない。

「さゆちゃん、悪いけど陽菜と一緒に来てくれないかな?」
「いいよ〜」

仕方ない親友だなぁと思いながら、一緒にはる兄の車に乗った。