目的地に到着した。
そこは海が遠くに見渡せる高台で、ほぼ崖みたいになっている所にある、墓地だった。
お父さんの眠る場所。
「着いたよ」
「うん、ありがとうアキ先生」
「一緒に行くから」
「うん」
アキ先生は何も言わずに、私の手を握って付いてきてくれた。
その時、ポツリと頭に雨粒が当たって。
「あ、雨」
「梅雨だからな。傘取りに戻ろう」
「ううん、いいです。早く会いたいから。それに傘差したってこれじゃあびしょ濡れです」
手のひらを上に向けると、ザーという音ともに、大雨が降り出した。
それでも私は歩みをとめない。
ゆっくりと崖のような階段を下る。
「先生、いいんだよ。私1人で行けるから」
「嫌だ。今だけは絶対に、1人にさせない」
アキ先生は腕を掴んで、私のことを強く強く抱き締めた。
「……ッ。どうして、離してください。私はお父さんに会いにいくだけなのにっ!」
「嫌だ。俺はさゆのことが好きだから」
ザーザー降りの雨の中、アキ先生は優しく囁くように言ってくれた。
「ちがうっ、私のことがっ……可哀想だから。もうすぐ死ぬから! 目を離せないから!」
お父さんのお墓の前について、私はお墓の前で両手を落とし跪いた。
「私にはお父さんだけなんです! 私のことをずっと待っててくれる。救ってくれるんです、いつもいつも微笑んでくれます。だからもう……私たちの邪魔をしないで下さいっ……」
「それでもお父さん、俺はさゆが好きです。さゆを貴方のところにはいかせない。俺の命を賭けても」
アキ先生が後ろから抱きしめてくれる。そして、自分の上着を脱いで冷えないように暖めてくれた。
そこは海が遠くに見渡せる高台で、ほぼ崖みたいになっている所にある、墓地だった。
お父さんの眠る場所。
「着いたよ」
「うん、ありがとうアキ先生」
「一緒に行くから」
「うん」
アキ先生は何も言わずに、私の手を握って付いてきてくれた。
その時、ポツリと頭に雨粒が当たって。
「あ、雨」
「梅雨だからな。傘取りに戻ろう」
「ううん、いいです。早く会いたいから。それに傘差したってこれじゃあびしょ濡れです」
手のひらを上に向けると、ザーという音ともに、大雨が降り出した。
それでも私は歩みをとめない。
ゆっくりと崖のような階段を下る。
「先生、いいんだよ。私1人で行けるから」
「嫌だ。今だけは絶対に、1人にさせない」
アキ先生は腕を掴んで、私のことを強く強く抱き締めた。
「……ッ。どうして、離してください。私はお父さんに会いにいくだけなのにっ!」
「嫌だ。俺はさゆのことが好きだから」
ザーザー降りの雨の中、アキ先生は優しく囁くように言ってくれた。
「ちがうっ、私のことがっ……可哀想だから。もうすぐ死ぬから! 目を離せないから!」
お父さんのお墓の前について、私はお墓の前で両手を落とし跪いた。
「私にはお父さんだけなんです! 私のことをずっと待っててくれる。救ってくれるんです、いつもいつも微笑んでくれます。だからもう……私たちの邪魔をしないで下さいっ……」
「それでもお父さん、俺はさゆが好きです。さゆを貴方のところにはいかせない。俺の命を賭けても」
アキ先生が後ろから抱きしめてくれる。そして、自分の上着を脱いで冷えないように暖めてくれた。


