君を思うと、胸がぎゅっと痛くて

ファミレスからの帰り道、二人で手を繋いで帰った。
街頭とお店の看板のネオンが眩しくて。

「アキ先生、家には帰りたくない」
「じゃあどこ行く? 俺の家?」

私はフルフルと首を横に振った。

「行きたいとこがあるんです」
「ふむ。じゃあ、車出すよ。こっち」

アキ先生はポケットからチャリンと鍵を出して、病院の方を指さした。
病院の駐車場に着くと促されるまま、先生の車に乗った。

「さてどこに行きたい?」
「住所、入れてもいいですか?」
「ああ」

手馴れた手つきで私はカーナビに住所を入力していく。
アキ先生は目的地を見て、一瞬だけ瞳の光が揺らいだ気がしたが、何も言わずに運転を始めた。

2人とも何も話さなかった。
2人とも何も話せなかった。

夜の高速道路のオレンジの光がどこまでも伸びて続いていた。