家の前に着くと「それじゃあ」と奏が少しはにかんで笑う。
「うん、また明日学校でね」と返した。
奏が隣の家に帰っていく背中を見送る。
家の中に入るとまだ誰も帰っていない。
お母さんが帰ってくるのはいつも夜9時すぎ。
1人なのは当たり前のことだから。
全然寂しくなんか、ない。
プルルルルーーーー
家の電話が鳴る。
この時間は珍しい。もしかしてお母さん、今日帰れなくなったのかな。受話器を取る。
「はい、本田です」
「お、さゆか」
「その声……って、え!?アキ先生!?」
「いや声デケェよ」
今度は家電にアキ先生から電話がかかってきた!
めっちゃ嬉しい。
思わず足をバタバタする。
「だってアキ先生からだと思わなかったから」
「カルテに書いてあるのこの番号しか無かったし」
「それって勝手にかけていいやつ?」
「倫理的には完全にアウト(笑)でも俺が往診してやるってていだから」
「あははっ。ほんと変なの……」
受話器を握る手にグッと力が入る。
自然と涙が一筋、頬を伝った。
「アキ先生……いいよ。そんなに頑張ってくれなくて。私はちゃんと一人でもやれるから」
「さゆは馬鹿なのか。どういう思考回路してたらそんな言葉が出てくるんだ?」
「……はあっ? ひどぉい!! 私はただ申し訳ないって思って」
「そんなのどうでもいい。明日俺休みだから。朝から家行く。いいな?」
「……先生」
「ん?」
誰もいない真っ暗な部屋を見渡す。
心がこぼれそうになる。
「もしも今から来てって言ったら、怒る?」
「良いよ。じゃあすぐ行く」
それだけ言ってアキ先生は呆気なく電話を切った。
あまりにもサラッと言われたから。
先生の言葉、今なんて言ってたって、うちに来るって言ってたよねって確認しちゃうくらい。
「うん、また明日学校でね」と返した。
奏が隣の家に帰っていく背中を見送る。
家の中に入るとまだ誰も帰っていない。
お母さんが帰ってくるのはいつも夜9時すぎ。
1人なのは当たり前のことだから。
全然寂しくなんか、ない。
プルルルルーーーー
家の電話が鳴る。
この時間は珍しい。もしかしてお母さん、今日帰れなくなったのかな。受話器を取る。
「はい、本田です」
「お、さゆか」
「その声……って、え!?アキ先生!?」
「いや声デケェよ」
今度は家電にアキ先生から電話がかかってきた!
めっちゃ嬉しい。
思わず足をバタバタする。
「だってアキ先生からだと思わなかったから」
「カルテに書いてあるのこの番号しか無かったし」
「それって勝手にかけていいやつ?」
「倫理的には完全にアウト(笑)でも俺が往診してやるってていだから」
「あははっ。ほんと変なの……」
受話器を握る手にグッと力が入る。
自然と涙が一筋、頬を伝った。
「アキ先生……いいよ。そんなに頑張ってくれなくて。私はちゃんと一人でもやれるから」
「さゆは馬鹿なのか。どういう思考回路してたらそんな言葉が出てくるんだ?」
「……はあっ? ひどぉい!! 私はただ申し訳ないって思って」
「そんなのどうでもいい。明日俺休みだから。朝から家行く。いいな?」
「……先生」
「ん?」
誰もいない真っ暗な部屋を見渡す。
心がこぼれそうになる。
「もしも今から来てって言ったら、怒る?」
「良いよ。じゃあすぐ行く」
それだけ言ってアキ先生は呆気なく電話を切った。
あまりにもサラッと言われたから。
先生の言葉、今なんて言ってたって、うちに来るって言ってたよねって確認しちゃうくらい。


