「じゃあ、陽菜。体調は気をつけろよ」
「うん。会長、さゆ。今日はありがと」
陽菜がそのまま家の中に入るのを見送ると私は安心して、改めて奏のことを見て言った。
「奏……。あのね」
「分かってる。どうせまだ家に帰りたくないんだろ?」
「なんで分かるの?」
「さゆのことなんて、お見通しだ。かぁさん、俺ら歩いて二人で家帰るからここまででいい。ありがとう助かった」
そう言うと、奏は私の手を引き車を降りた。
奏のお母さんにお辞儀する。
「さゆ、また、何かあったか? 元気ないな」
「うん……」
しとしと雨が降ってる。
上を見ると空が泣いてるみたい。
だけど、雨の音が私を安心させてもくれる。
『大人になるより前に死ぬのーー』
さっきの言葉が、私の中にこだましていた。
「なんでもない。でも、まだ今日は帰りたくないの」
「さゆ、おいで……」
奏が手を広げて私を受け入れてくれる。
ギュッと抱きしめて欲しくて、手を伸ばす。
だけど、あと数センチーー届かない。
「出来ないよ。私、奏に甘える資格ない」
「そんな資格、なくていいんだ」
そのあと数センチを奏の方から埋めてくれる。
「何も言わなくていい。俺は何も聞かないから。ただこうして抱きしめてていいか?」
「ーーうん」
温もりが心地好くて。
奏のことが大好きだって思えるのに。
私はずるい。
頭の片隅でアキ先生のこと、考えてる。
「うん。会長、さゆ。今日はありがと」
陽菜がそのまま家の中に入るのを見送ると私は安心して、改めて奏のことを見て言った。
「奏……。あのね」
「分かってる。どうせまだ家に帰りたくないんだろ?」
「なんで分かるの?」
「さゆのことなんて、お見通しだ。かぁさん、俺ら歩いて二人で家帰るからここまででいい。ありがとう助かった」
そう言うと、奏は私の手を引き車を降りた。
奏のお母さんにお辞儀する。
「さゆ、また、何かあったか? 元気ないな」
「うん……」
しとしと雨が降ってる。
上を見ると空が泣いてるみたい。
だけど、雨の音が私を安心させてもくれる。
『大人になるより前に死ぬのーー』
さっきの言葉が、私の中にこだましていた。
「なんでもない。でも、まだ今日は帰りたくないの」
「さゆ、おいで……」
奏が手を広げて私を受け入れてくれる。
ギュッと抱きしめて欲しくて、手を伸ばす。
だけど、あと数センチーー届かない。
「出来ないよ。私、奏に甘える資格ない」
「そんな資格、なくていいんだ」
そのあと数センチを奏の方から埋めてくれる。
「何も言わなくていい。俺は何も聞かないから。ただこうして抱きしめてていいか?」
「ーーうん」
温もりが心地好くて。
奏のことが大好きだって思えるのに。
私はずるい。
頭の片隅でアキ先生のこと、考えてる。


