「お前ら、こんな雨の中何してんの?」

不意に声をかけられたからびっくりして振り向くと、傘をさしたまま呆れた顔をしてる奏がいた。

「あ、奏先輩。雨宿りだよ。もし良かったら先輩もどーお?」
「なんか陽菜にまで先輩とか言われるのいやだな」
「中学になったし、礼儀的なやつだよ」
「奏でいいよ」
「だってさ」
「じゃあ遠慮なく、奏会長」
「なにそれ」
「だってー、生徒会長でもあるし」

陽菜が私に気を使って、あえて奏と距離をとってるのに気づいてる。
真ん中にスペースをあけると、それに気がついて奏は傘を置いてどかっと座った。

「陽菜、また体調悪いんだろ? うちの車で送る。もう親LINEで呼んだから」
「わ〜。さすが会長。なんでもお見通しだねっ。お言葉に甘えるよ」
「さゆでこういうのは慣れてるから」
「奏、ありがと」
「いいよ。それよりさゆは大丈夫?」
「うん、私は元気」
「そ。よかった」

ちょうどいい距離感。
深く入り込みすぎないでくれる。
そんな会話が心地よかった。

「なんだかんだ3人で話すの久しぶりだな」
「会長が忙しいから」
「そうかもな。俺が勝手に距離あけてたかも」
「でしょ」
「学年違うとなかなか、な」

それに周りから色々からかわれるんだ、さゆ達と話してると目立つからと付け足した。
私と奏が幼なじみなことなんて、学校の子たちは知らないし仕方ない。