君を思うと、胸がぎゅっと痛くて

そして目線を横に移すと、笑顔のお父さんの写った写真が目に入る。

「お父さん、おはよ」

私がどれだけ声をかけても、返事はない。
お父さんは私と同じ心臓の病気で死んだ。
弁膜ってとこが悪くて、何回も何回も手術して何回も何回も痛くて辛くて嫌な思いして、それで私がまだ小さいころに死んじゃった。

「お父さんは幸せな人生だった?」

なんて、声をかけても返って来ないけど。
家に残る写真に写るお父さんはいつだって笑顔で、幸せそうだった。
そこは、私と全然違う。

私は気分屋で、すぐ泣くし、すぐ怒る。
病気以外は似なかったね。

制服に着替えて、学校に行く準備をする。
今日も外は雨が降っていた。
陽菜、体調大丈夫かなぁ。

ーーピンポーン

そんなことをぼんやりと考えてると、家のチャイムが鳴った。
こんな朝早くから誰だろ?