B4サイズに魔法をつめて

音のほうを反射的に見る。

町のどこでも見かけるような、よくある乗用車が。

もうすぐそこまで来ていた。



歩道の上に車が乗り込んで来て。

運転手と目が合った。

その人は、真っ赤な顔をしている。



(あ、やばっ)
と思ったら、すぐに全身に衝撃的な痛みが走った。



空が近くなり、そして次の瞬間、地面に突っ伏していた。

アスファルトの硬さを体全部で感じながら、はね飛ばされたんだ、と頭のどこかで理解した。



周りにいた人達が悲鳴を上げたり、スマートフォンを耳に当てて、どこかに電話しているようだった。

遠巻きにいる私と同じ中学の生徒が、真っ青な顔で立ちすくんでいるのが見えた。



それもそうか。

私の血が、あたりを真っ赤に染めていて。

体も小刻みに震えているんだもん。



(死ぬのかな)



まだ死にたくない。

漫画、描きたい。

ちゃんと完成させて、投稿作品でデビュー賞を貰うんだ。