B4サイズに魔法をつめて

「……早く描きたくなっちゃったじゃん、次回作」



真昼は満面の笑みを返してくれる。

そこへ、どこかでお昼を食べていたらしい明石 秀人が教室に帰って来た。

明石 秀人の隣には、同じクラスの優等生、冴島(さえじま)くんもいる。

明石 秀人を何となく見ていたら、目が合った。



(!!)



心臓がドキンと跳ねる。



「何?」
と、明石 秀人が近づいて来た。



「別に、何でもないよ」

「……何かあるのかと思った」

「ないから」



ただ見ていただけとは、言えなかった。

だって。

悔しいじゃん。



(まさか、こいつに恋をするとは……)



私としたことが、不覚にもほどがある。



「あれ? 大谷さんと塚原さんって仲良かったっけ?」
と、冴島くんが私達を指差す。



「指差すの、やめてくれない?」



思わず眉間にシワを寄せてしまう。

真昼が慌てて、
「師匠はプライドがエベレストみたいに高いんです。でも、すごく良い人なので、誤解しないでください」
と、冴島くんに余計な説明をする。