B4サイズに魔法をつめて

美菜や千穂の嫌がらせに構っている暇なんてない。

大丈夫。

私なら、やっていける。

傷ついてなんかない。



学校を出て。

家に向かって、下校する。

通学路には、ぽつぽつと同じく下校する生徒の姿があった。

大体の人がまだ部活をしている時間だから、ここにいる人達はきっと部活に所属していない、いわば帰宅部なんだなと思う。


私は、ひとりで歩きながら。

考え事をしていた。

漫画のことを考えようと思うのに、頭に浮かんでくるのは、美菜や千穂の顔。

二年生になって出来た友達で、この春の始業式の日、声をかけてくれた。

ひとりで下校しようとしていたら、美菜と千穂が近寄って来て、
『同じクラスの塚原さんだよね? 一緒に帰ろうよ』
なんて笑顔を見せてくれた。



安心した。

嬉しかった。





思い出して、目に溜まってきた涙を払おうと、ぎゅっとまぶたを閉じた時。

けたたましい音が、すごい勢いで近寄ってきた。