B4サイズに魔法をつめて

明石 秀人は続ける。



「でも曖昧に返事を返すだけの大谷さんに、『目指している漫画家がいるのか』ってふたりは話を変えたんだ。……大谷さんはこう答えた」



明石 秀人は私を真っ直ぐ見る。



「『私は冬原 ちづか先生みたいになりたいんです』って」



「……っ!」



明石 秀人は、「あんたのことだろ?」と、眉間にシワを寄せる。



「ふたりは冬原 ちづかっていう名前を知っていた。あんたがそうだとは知らないみたいだったけど、『あぁ、あのいつまで経ってもデビュー出来ない、投稿者の人でしょ?』って」



恥ずかしさで、目の前が真っ赤に染まった気がした。

明石 秀人は更にこう言う。


「『あの人、漫画家じゃないじゃん。別に上手いとも思わないし』って笑っていた」

「……っ!!」



明石 秀人が言うように、冬原 ちづかが私であるとは、美菜や千穂は知らないはず。

だけど、そんなふうに言われるんだ。

そんなふうに、世間は私を見ているんだ。



悔しさで、お腹の中にある臓器が全部、ひっくり返ってしまうかと思った。