B4サイズに魔法をつめて

何も感じなかったわけじゃないけど、私は上靴を履いて、その紙をくしゃくしゃに丸めた。

教室に入ってすぐ、ゴミ箱に捨てる。

美菜と千穂が、私を見てコソコソと何かを話している。



……嫌がらせだ。

美菜達が「死ね」って書いて、わざわざ私の上靴の中に入れたんだ。



なんでって考えるまでもない。

恋バナをきちんと聞かなかったからだ。



「……しょーもな」



ぽつりと、でも吐き捨てるように呟いて。

自分の席に着いた。



ひそひそと聞こえてくる陰口に、居心地の悪さを感じながら。

それでもなんとか、午後の授業も受け終わる。



早く帰って。

漫画の作業をしたい。



プロット、つまりストーリーの道筋を決めたものは出来たから、それをネームに起こす作業がしたい。

ネームが終わったら、原稿用紙に下絵、続いてペン入れ、消しゴムかけ、トーン貼りと続く。

来月の月末締切に間に合わせて、必ず『デイジー』に投稿したいから、逆算するとネームにかけられる日数は一週間。

だから。

私には時間がない。