B4サイズに魔法をつめて

冬休みの間に、真昼は全身のキャラをバランス良く描けるようになった。

“あたり”をつけて描く練習を重ねたおかげで、それまで突っ立っていただけのキャラに、ポーズを付けられるようにもなった。



真昼の隣で、私も絵の練習をした。

右手首の骨折から、うまく描けなくなっているのは、やっぱり直らない。

どんな絵を描いても、自分の中では納得が出来ない。



ある時、私の絵をどう思うか真昼に尋ねてみたら、
「キャラの髪の毛の描き方、変えました?」
と、逆に尋ねられた。



曖昧に返事をして、その話を終わらせたけれど。

私にはわかった。



(線が、変わったんだ)



キャラの髪の毛は特に、そのサラサラ具合や、毛束感など、描く人によって違う。

私はその違いは、線にあると思っている。

髪の毛を描く時の筆圧、速さなどの違いから個性が出るんだと思っている。

だから線は大事なんだって、改めて今、知った。