B4サイズに魔法をつめて

それを見て、みんな笑っている。

美菜が片想い中の寺西 大輝(てらにし だいき)も、大笑いしている。



(こいつのどこにときめくんだろう?)



心底わからない。

少女漫画の中のヒーローキャラのほうが、断然かっこいいのに。



笑われながら立ち上がった大谷 真昼は、オドオドしながら自分の席に戻った。

私の後ろの席の男子は、
「……でさ〜、そのウェブ小説でさ、めっちゃ面白いやつ見つけてさー」
と、話を続けている。



みんな、大谷 真昼については見ないふり、聞かないふり。

当の本人も机の上にノートを広げて、何かを書いているらしく、
(慣れているんだろうな)
と、思った。



大谷 真昼にとっても、私達クラスメイトにとっても。

いじめられていることや、いじめられている現場を見ることに対しても、日常になり過ぎたんだと頭のすみで思って、私もノートを広げてストーリーを考えることにした。






翌朝。

美菜の恋バナをきちんと聞かなかった罪は重かったらしい。

登校して、昇降口の下駄箱に置いておいた上靴の中に、「死ね」と書かれた紙が入っていた。