B4サイズに魔法をつめて

大谷 真昼はうっとりした様子で、話し続ける。



「ふ、冬原さんの漫画には力があります。おは、お話の展開の仕方とか、画面の工夫をすれば、絶対に読者に届くと思うんです」

「……まぁね」



ニヤニヤしてしまって。

口元がだらしなく緩みそう。

頑張って、真顔を作る。






「わた、私も、ま、漫画家になりたいんです」







大谷 真昼はそう言って、
「私に教えてください!! 漫画の弟子にしてください!!」
と、頭を下げた。



その時。

私は素直に頷いていた。



「いいよ、別に。減るもんじゃないし」

「えっ、良いんですか!」

「うん」



大谷 真昼が嬉しそうに笑う。

そしてすぐに、
「あ、いじめられている理由、話していないっ」
と、慌て始めたので、私も慌ててこう言った。
「話さなくてもいい。ごめん、そんなこと聞いて」



大谷 真昼はきょとんとして、こう言った。



「冬原さんでも謝るんですね」

「人を何だと思ってんの、謝るし」