B4サイズに魔法をつめて

「……何よ」

「冬原さんは描けるから」



大谷 真昼は目を輝かせた。



「キャラの心の中を、表情でちゃんと描けるから。そのキャラがどう思っているのか、本心はどうだったのか、表情を見ればわかるんです」

「……」



……嬉しかった。

それは。

私が最も大事にしていたことで。

そしてこれからも、大事にしなくちゃいけないこと。



「だから“顔漫画”になるんだって思いました。表情を大切にしているから、冬原さんの漫画の全ては、キャラの表情だから。冬原さんは、その特技を思い切り使うから、キャラの顔ばかり描いてしまうんだと思います」



大谷 真昼はそこまで話すと、
「投稿者ページって、投稿者のイラストカットが載るじゃないですか。わ、私、冬原さんのイラストカットを見ては、ドキドキしていました」
と、ベンチから立ち上がった。



「ドキドキ?」

「そうです。こんな素敵な表情をするキャラは、どんな恋をして、どんなストーリーの中に暮らしているんだろうって」