B4サイズに魔法をつめて

大谷 真昼の反応で、
(あ、良くなかったんだ)
と、すぐに察知できた。



悔しくて。

恥ずかしくて。

腹が立って。



「私、帰る」
と、ベンチから離れようとしたら。



腕に強い力を感じた。

驚いて見ると、大谷 真昼が私の左腕を掴んでいた。



「は? 痛いんだけど」

「あ、あ、あの、ごめんなさいっ」



その慌てぶりから骨折した痛みを感じるのかと勘違いしているみたいだった。



だから、
「違う。骨折したのは右手首だから、それは大丈夫だけど」
と訂正すると、大谷 真昼はホッとした表情を見せた。



今まで気づかなかったけれど。



(大谷 真昼って、綺麗な顔立ちをしているんだな)



美形で。

漫画の中にいる人みたい。

見ていたい、と思わせるほどに美しい。

顔にかかった長い前髪を耳にかけるその指先まで、美しかった。



「あんた、なんでいじめられてんの」



ふいに、思ったことを口にしてしまった。