B4サイズに魔法をつめて

私は開いた口をぱくぱくしてしまう。

だけどすぐにこう考えた。



(普段から恋愛漫画をあまり読んでいないのかもしれない)



「今、恋愛漫画を読み慣れていないからだって、頭の中で思っただろう」
と言った明石 秀人は、
「例えそうだとしても、塚原さんの漫画は全然面白くなかったって断言できる」
なんて、強い口調で言う。



「は? なんで、あんたにそんなこと言われなくちゃ……」



涙目になってくる。

私の漫画を批判するなんて。



「まず、話の展開がひとりよがりで、読者がついていけない。主人公が彼を好きになる理由もわからないし、彼の魅力がイケメンってだけで、読んでいても共感出来ない」

「それは……!」

「第一、主人公にも魅力がない。クラスのすみにいる地味女子ってだけで、キャラクターの厚みが感じられない」

「それだって」

「だって、何? あんたはあの主人公の魅力を、今ここで、オレに説明出来るの?」