B4サイズに魔法をつめて

お母さんと約束しているのに。

中学生の間に漫画家デビューが叶わなかったら、漫画家になる夢は諦めるって。



「そんなの、嫌!」



絶対にデビューしなくちゃ。

夢を諦めるなんて、無理。

大丈夫、私なら漫画家になれる。

きっとすぐにデビューを掴み取る。



連絡の来ないスマートフォンを気にする暇があるなら、次回作のネームを考えなくちゃ。









翌日の昼休み。

私の通う、市立A中学校の二年四組の教室で。

わいわいはしゃいでいる目立つグループの男子を見ながら、美菜(みな)がぼんやり呟いた。



「ねぇ、私達ってさ、あぁいうグループの子と話す機会なんてこの先無いのかな?」



美菜の隣で「大丈夫だよぅ」と、笑顔を作ったのは、千穂(ちほ)だった。



「美菜は可愛いし、きっと大輝(だいき)くんとだって仲良くなれるよ!」



そう言った千穂が私のほうを向いて、「ねぇ?」と同意を求めるように見てくる。



「えっ? どういうこと?」



私には何のことなのか、さっぱりわからない。