B4サイズに魔法をつめて

大谷 真昼に会わなくちゃ。

会って、原稿を取り返したい。

明日は、土曜日だから学校は休みだけど。



(大谷 真昼の家をつきとめて、取り返しに行かなくちゃ。……でも、どうやって?)






お母さんが仕事から帰ってきて。

夕食の支度をしてくれていた。



台所から振り返って、
「千冬、今日って誰か来たの?」
と、何気なく聞いてくる。



内心不安と焦りでそれどころじゃなかったけれど、大谷 真昼の家をどうやって調べるのか見当もつかないし。

とりあえず、お母さんに、
「えっ、なんで?」
と、返事を返した。



「だって、なんか、あんたの机の上が片付いてるし」

「……かた、片付けただけだもん」

「ん? そうなの?」



お母さんが納得のいかない顔をしたけれど、それ以上のことは聞いてこなかった。



その時。

ピンポーン……。

誰かがやって来た。





「はぁーい」
と、お母さんが玄関のドアを開ける。



「あの、塚原 千冬さんに用事があるんですけれど、今、ご在宅ですか?」
と、男の子の声がした。