B4サイズに魔法をつめて

消えていた。


漫画原稿だけが。



ペンも、物差しも、消しゴムも、ノートやハサミも部屋に散乱していたけれど。

片付けたら、元の位置に戻ったのに。

漫画原稿だけが、ない。



(怒りに任せて、投げつけるなんてことしたからだ)



以前に投稿した原稿だった。

編集部からも批評付きで返却されたもの。

でも、だからといって。



(大切なものなのに)



投げたりするべきじゃなかった。

大事に、ちゃんと保管しておくべきだった。



考えられるのは、大谷 真昼だった。

床に散らばった漫画原稿を集めていたところを見ていたし。

私のファンだと言って、目を輝かせていた。



(盗まれた?)



冬原 ちづかの原稿が、欲しかったのかもしれない。



心臓がドギマギしてくる。

漫画原稿を盗まれたなんて、ショックだった。

私の全部をかけて創作したものだから。

大切に生み出したものだから。