B4サイズに魔法をつめて

(あっ、絵を描いていたノート、開きっぱなしだった!)



早足で机のそばに行き、ノートを閉じる。

それをじっと、大谷 真昼が見ていた。



「み、見た?」

「……え、えっと……」



大谷 真昼の目は驚きの表情で、私の顔と閉じたノートを交互に見つめている。



「塚原さん、プリントとか渡すね」
と、明石 秀人は自分の黒くて四角いリュックを開けた。



(私が何をしてようが、興味ないってか)



シラけた気持ちになりつつも、内心助かった、と安堵する。



明石 秀人は丁寧な手つきでクリアファイルに入っていたプリントを何枚も取り出し、部屋の真ん中に置いていた小さなローテーブルで、トントンと音を鳴らしながら、プリントを揃えた。

私は手を伸ばし、それを受け取る。



「授業のノートはクラス全員で当番制にしてたんだ。だから、色んな人が書いてるから文字も違うけど、内容はちゃんと書いてあるから」



そう言って、リュックからノートを数冊出して手渡してくれる。



「ありがとう」
と、受け取ったその時、大谷 真昼が、ぽつりと呟いた。