B4サイズに魔法をつめて

「Bクラス?」



嘘だと思って改めて雑誌に視線を落とすけど、やっぱり私のペンネームはBクラスの枠内にある。



『デイジー』に投稿し始めたのは、去年の春。

中学一年生になって、すぐのことだった。

それから三作目の投稿作品で、橋本 輝明(はしもと てるあき)さんという担当編集者が付いてくれることになった。



『中学生でこれだけ描けるのはすごい』

『描くスピードも速いんだね』

『キャラの表情が良いよ』



褒めてもらえていた。

ネームと呼ばれる、漫画の下書きの下書き、いわば設計図のようなものが出来ると、橋本さんは『見せてほしい』と言って、アドバイスもくれていた。

連絡だってかなり頻繁に取っていた。



……なのに。



担当に付いてもらって半年後の、ちょうど一年生が終わる頃から、橋本さんの連絡があまり来なくなった。



窓の外を見る。

この間まで満開だった桜が散って、緑色がまぶしい。



「このままだったら、中学生の間にデビューが難しい……?」