B4サイズに魔法をつめて

きっかけ。

そう聞かれて頭の中に浮かんだのは、真昼の顔だった。



「友達のおかげです」



私の漫画を好きでいてくれた。

アドバイスをくれた。

共に努力をしてくれた。

キラキラした世界を、共有してくれた。



『きっと素敵なお友達なんでしょうね』



橋本さんはまた日を改めて連絡をすると言って、電話を切った。

これからのことは、その時に伝えますって言われて。



(あぁ、始まるんだ……!)
と、わくわくした。



私の漫画家人生。

これから、歩く道。

ずっとずっと、欲しかった日々が。

ついに始まる。



電話を切って、スマートフォンを脱衣所に置いた。

湯船のお湯に、体を深く沈めて。

浴室の天井を眺めた。



こみあげてくる感情は。

嬉しさと一緒に不安もある。

だけどそれ以上に。



(幸福って、こういう気持ちなんだ……)



そう思ったら。

私の頬を、涙が伝っていった。