B4サイズに魔法をつめて

「右手は利き手なんだよ!? こんな、骨折なんかしてたら、漫画描けないじゃん!! ペンなんか持てないじゃん!!」

「……千冬」

「どうしよう、来月末日が締切なのに……。骨折なんかして……」

「何言ってんの!! 命が助かっただけでも奇跡みたいなものなんだよ!?」

「命が助かっても!! ペンが持てなくちゃ意味なんかないんだよ!!」



私は泣き叫ぶ。

お母さんは信じられない、という表情をして、
「……いい機会じゃない。そんなに追い詰められるなら、漫画を描くことなんかやめなさい」
と、厳しい声を出した。



「はぁ!? 信じらんない!! 何言ってんの!?」

「お母さんは間違ったことは言ってない」

「何それ!! よくそんなこと言えるよね!?」



病室のドアがまた開いた。

スリッパのような、床を()って歩く足音が近づいてくる。



「すみません、他の患者さんもいらっしゃるので、お静かに願います」



声の主が、私の顔を覗きこんだ。

多分40代半ばくらいの、男性だった。