B4サイズに魔法をつめて

一番上にあったページは、苦手な階段をふかんで描いた、かなり時間のかかるページで。

ほとんどのコマが汚れている。



(一枚分、全部描き直さなくちゃ……)



どうしよう。

そんな時間が、今の私にあるのかな?



(泣きそう……)



もし間に合わなかったら……。

もう、漫画家になれないかもしれない。

お母さんとの約束のリミットは、足音をさせて迫ってきているのに。



……漫画は。

魔法だと思った。

恋愛ものも、ファンタジーも、冒険ものも、ミステリーやエッセイものや、その他色んなジャンルの全部。

私にとって、それらは。

キラキラと輝いて、眩しくて。

いつの間にか、別世界に連れて行ってくれる。



ページをめくるあの瞬間は。

別世界への扉を開いているんだ。



ずっと、憧れていた。

そんな世界を作れることに。

私も誰かを連れて行きたかった。

私だけの、魔法をつめて。



『投稿しなくちゃ、認めてもらえない。認めてもらえなくちゃ、漫画家にはなれない』



真昼の声が。

頭の中に響いた気がした。